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雨音のする画廊

建築は、体験するもの



私も連休を楽しんでいますが、それまでのここ何日か、ちょっと面白い仕事をしていました。


「面白い」というのは、必ずしも個人的な好みを全開にできるからというわけではなく、
時と場合によってどういうデザインをあてるかを判断する、
そして納期に間に合わせる(←ここ大事)。
臨機応変、そのあたりに自分の仕事の「面白み」がある気がします。




さて、
神奈川県立近代美術館・鎌倉館の建築を堪能したが、
受付で「別館」への案内図を貰った。
「新館」もあったり、なんだか私が以前かかっていた大病院のようだ(笑)


別館は、北鎌倉方面にしばらく歩いたところにある。




DSCN1487.jpg
▲やはり「鎌倉に馴染む」設計であるようだ



ここでは主に、日本画の「近代」をじっくり観ることができた。

以前の仕事仲間には美大の日本画科出身のひとが何人もいたが、
この現代に、なにをもって「日本画」を名乗るのかはやはり問題であるようだった。

そして同じ葛藤を、「近代日本画」、それも大家と呼ばれるひとたちの作品にも見るような気がして、息詰まるようだった。



同じ道をを戻ってきながら、
観光道路からふと脇道にそれてみたくなって、細い坂を登ってみた。

そこでふと見つけた控えめな看板に誘われてもう少し登ると、
「鎌倉 とも乃」という綺麗なお店があった。

ここは、著名な日本画家・奥村土牛にゆかりのあるお店らしく、
「土牛の好んだしらす山椒」がいちおしだ。
ご迷惑でなさそうだったので、感じの良いご主人とのんびりお話しながらお土産を選んだ。
「祖父が…」という言葉が出たのでお聞きしてみると、ご主人は土牛の実のお孫さんだった。
お店はギャラリーも兼ねていて、土牛のものは本画もリトグラフも展示されている。

思わぬところで、目の保養ができてしまった。
(しかし京都へのお土産ということで、しらす山椒でなく、試食のうえ「しらす味噌」「鯛味噌」を買って帰りました。
すごく好評でした…「とも乃」のご主人、ありがとうございました)



もう少し歩いてみると、もうそのあたりは普通の家ばかりでとても静かだ。
緑が多い、というか緑がうまく街と混ざりあっている。
派手ではないが瀟洒な家に古い型のワーゲンが停めてあるのなんかを眺めながら、
「鎌倉」のイメージどおりだなあ、と思った。



また歩いて本館に戻ってきた。

「新館」は、本館のすぐ隣に建てられている。



DSCN1498.jpg
▲新館(1966年建築)


設計は本館と同じ、坂倉準三。
今見ても全く古さを感じないデザインである。


DSCN1455.jpg
▲ガラスの壁(カーテンウォール)が美しい



DSCN1454.jpg
▲本館との接続部分。池にも彫刻が佇む



ガラスの壁から池を望む展示室はさぞかし素敵だろう。
…というのはこの新館、耐震の問題で今は公開されていないのだ。

今後、この鎌倉館全体がどういう扱いになるのか分からないが、
なんとかこの新館も、中に入れるかたちで生かされる方法はないものだろうか。




いつも思うのだけれど、
建築は、体験するものだ。

絵画や彫刻も、写真で知っていたとしてもやはり現物を見たいと思うもの。
そして外国の作品でもこちらにやって来てくれたりするので、見る機会も多い。

けれど建築だけは、そこに行かないと実物を見られない。
行って中に入れれば、視覚だけでなく全身のいろいろな感覚を使って、写真に写っていなかったものを感じ取れる。
受けた感じが、建築の専門家の評論と違っていてもいいのである。




閉館時間になり、かばんを持って美術館を後にした。
池の太鼓橋からもう一度本館・新館の端正な姿を眺めながら、
やっぱり来て良かった、と思った。





DSCN1497.jpg




  




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  1. 2015/05/05(火) 13:47:51|
  2. 未分類

プロフィール

猫足

Author:猫足
京都生まれ、本業は工芸デザイン。
なのに趣味も絵。われながら不健康だと思います。


〔筆者近況〕

夜間によく吠えてうるさかった近所の犬が、
しばらく屋内にしまわれていたのだが、
最近、外の犬小屋に戻ってきた。

彼は、このひと夏で何か学習したのだろうか。


しばらく観察します。

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