雨音のする画廊

憧れの建築に会いに(前編)



なぜだか忘れられなかったのだ。


雑誌の切り抜きなので、正確な撮影の時期は分からないが、
10年以上前のものだろうと思う。

金髪のボブの女性が、不思議に簡素で美しい建物のなかでポーズをとっていた。


服も素敵だったのだが、それよりもその背景が気になった。
まだはっきりとどういう建築が好きだとかを自覚しない頃だったはずだが、
とにかくそのページを切り抜いておいた。


その後、あちこちで私が気にする建物は、ほとんどすべて「モダニズム建築」というジャンルにくくられることを知った。

そしてあの切抜きの建物は、
1951年に日本で始めて誕生した公立の近代美術館、
神奈川県立近代美術館・鎌倉館だったのだ。



ここは、DOCOMOMO(ドコモモ、モダニズム建築を調査・研究する学術組織)の日本支部が選んだ100選に入っている有名な建築ではあるが、
選ばれているからといって保存が保障されるわけではない。

事実、この鎌倉館は2016年1月末で閉館されることになっている。

閉館後にこの建築が取り壊されるわけではないとしても、
美術館として建てられたその目的のままに鑑賞できる時間はもうあまりない。



ちょうど仕事で東京に行く用があったので、
前乗りで鎌倉に脚を伸ばすことにした。




DSCN1499.jpg



鎌倉や江ノ島というのは、首都圏に住む方々にとっては手頃なお出かけ先だろうと思うのだが、
関西に住んでいると、わざわざ目指して行くというのはあまり聞かないようである。


寝不足の上に新幹線の後ろの席がやかましかったので、
いまいちテンションの上がらないままに「小町通り」を行く。
両脇にお土産物屋や食べ物屋が並ぶ細い通りは、休日とあってものすごく混雑していた。

それは要するに京都と何も変わらないのだから、いささかうんざりしながら荷物を下げて歩いた。
(鎌倉駅のコインロッカーは数が少なすぎて満杯だったのだ)




人の流れに乗って、鶴岡八幡宮に向かう。
正門から入り、砂利を踏んで歩きながら、美術館はどこにあるのかときょろきょろしていると、
左側の生垣に小さく「神奈川県立近代美術館」と表示があった。

あ、と思ってその生垣の切れ目に入ると、
急にあたりは静かになった。



DSCN1484.jpg


上の写真は午後になってから撮ったもので、
私が着いた時間にはもっとひと気が無かったのだ。



憧れていた建築が目の前にある。
チケットを買って、荷物を預け、
先ほどまでの不機嫌はどこへやら、わくわくしながら階段をのぼった。




DSCN0001_01.jpg
▲左側入り口



DSCN0001_2015042100380471b.jpg



企画展は「鎌倉からはじまった:part1 近代美術館のこれから」。

3つのパートに分けて、この近代美術館の誕生までの時間を遡っていくという仕組みらしく、
今回は1985年から最近までの間に開かれた展覧会を振り返るという内容だった。


私は「前衛芸術」史にはあまり詳しくはないのだが、
1960年前後からあとの作品には、赤瀬川原平「反芸術アンパン」で読んだおぼえのある名前がちらほら出てきて、
なにか古文書でも見るような気持ちで、その時代の熱気を想像したりした。




いくつかの展示室を見てくると、
四角い中庭を見下ろすスペースに出るようになっている。
小さな中庭だが、日光を浴びて気分がリセットされるのを感じる。



DSCN1444.jpg


シンプルなグレーと黒の塗装が素敵だ、
だが当初はもっとカラフルだったらしい。


DSCN1446.jpg




…おや、こんなところにカフェの扉が。


DSCN1463.jpg


ちょうどお昼時なので入ってみましょう、
この続きはまた次回。





関連記事
スポンサーサイト
  1. 2015/04/21(火) 00:26:07|
  2. 未分類

プロフィール

猫足

Author:猫足
京都生まれ、本業は工芸デザイン。
なのに趣味も絵。われながら不健康だと思います。


〔筆者近況〕

先日、帰りが遅くなり急いで歩いていたら、
「あたらしい餅」
と書かれたのぼりが立っていた。

そりゃ古いよりはいいだろうけどさ、
…とよく見ると、
「みたらし小餅」だった。

こんな調子でいろいろ誤解してないか心配である。

最新記事

月別アーカイブ

カテゴリ

未分類 (65)
絵 (65)
京都 (27)
音楽 (30)
本 (5)
服装 (5)

検索フォーム

リンク

このブログをリンクに追加する

QRコード

QR